
ごあいさつ
- 当院について
理事長挨拶

医療法人 城南ヘルスケアグループ
くまもと南部広域病院
理事長
小野 友道
おの ともみち
地域のお役に立ちたい
― 病院の歴史と隈庄飛行場の歴史を背負って
昭和28(1953)年に発足した結核療養所「保生園」を熊本県、熊本大学の要請を受けて化血研(当時)が昭和34(1959)年これを引き継ぎ医療法人松寿会『緑ヶ丘病院』となりました。昭和44(1969)年医療法人杏和会「城南病院」、そして令和元(2019)年、医療法人城南ヘルスケアグループ「くまもと南部広域病院」と名称を変更しながら発展してまいりました。現在も「化血研」から親法人として支援して頂いています。御多分に漏れず本病院も紆余曲折を経て今日があります。特に熊本地震を忘れません。そして何より忘れてならないのが、ここが城南町舞原無番地で隈庄飛行場だったことです。ここから有為の若者が特攻隊員として飛び立ったのです。本年は戦後80年です。私たち病院職員はこの歴史を忘れておりません。病院裏手にある池、心の字を象った『心字池』があります。ここで水盃をして飛び立った若者を忘れません。
私共はこの節目の年に病院と化血研共催で10月に「戦後80年、隈庄飛行場と三船敏郎」と題した文化事業を火の君文化ホールにて執り行う予定です。地域の方は勿論のこと、多くの皆様にご参加いただけますと幸いです。
ご存じのように昔は地域の中心は学校、特に小学校でした。運動会・盆踊りなど何かあればみんな集まったものでした。現在の高齢社会、地域の拠点の一つとして病院が役目を果たす必要を感じております。ここ「くまもと南部広域病院」が、微力ですがその一つになりたいと願っています。医療・介護・リハビリなど医療面を担当するだけでなく、災害時の避難場所とお手伝い、文化的行事開催などなど地域の皆様がいつでも集合できる場として在りたいのです。共助・互助・自助と言われますが、まずは日頃から住民皆様が集まる機会をつくる必要があります。集まれば言葉が交わされます。そしてゆるやかな絆が出来るでしょう。そこで初めて自助・共助が生まれるのではないでしょうか。そんな場を提供したいのです。地域の皆様のお知恵と力をお貸しください。
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理事長挨拶(2024年)
高齢者の活躍する時が来た
― 多死社会とは呼ばせない
私は辰年、本年7回目の干支を迎えました。まぎれもない高齢者です。2040年には私はちょうど100歳に、なんてそれは高望みですね。私の話は別として2040年は不気味なのです。あの団塊ジュニアの皆さんが高齢者の仲間になるのです。一方で労働の要である若手は減少していきます。「多死社会」だと言われています。どうする高齢者!です。
こうなったら我々高齢者、居直るしかないのです。社会の担い手として働ける方々は働きましょう。と言ってみたものの杖は要る、糖は出る、血圧が高い、おしっこで夜も寝れない、すぐつまずいて転んだりするなど多くの方々に悩みがあるのです。お家や介護施設でこのようにお過ごしの皆さんたちに長く元気にそれぞれの地域で活躍していただきたいのです。国も訪問診療などの在宅医療の推進で皆さんの日常の療養の手助けをする方向を目指しています。できるだけ自立した生活をしていただきたいのです。そのためにはリハビリ、栄養、そしてお口の衛生、嚥下(のみこむ)機能の訓練が大切だと言われています。できればお家でこれらの訓練ができればいいですね。
このような現状を考えて、私どもは「城南ヘルスケアグループ」として「くまもと南部広域病院」、そして介護のための「地域支援総合センター」(訪問リハビリや居宅介護支援事業所、認知デイケア施設など)、セットでお役に立ちたいのです。
昨年10月から、この介護や訪問診療に強い信念を持っておられ総合診療医でもある町田二郎元済生会熊本病院副院長を院長としてお迎えし、南部エリアの地域をご支援する体制の強化を致したところです。町田院長は地域の皆様と身近に接し、そのお悩みを聞く機会を望んでいます。我々はこの意向に添い、地域に出向き、地域の皆様とお話し合いをする機会を作りたいと切望いたしております。また、病院にお出かけ頂き、歓談したり、体操などしたりする機会を作ります。その節はぜひぜひおいで下さい。そして高齢の私も仲間に入れて下さい。お待ちしております。
院長挨拶

医療法人 城南ヘルスケアグループ
くまもと南部広域病院
院長
町田 二郎
まちだ じろう
日中と夜の寒暖差の影響か、今年は桜の咲く期間が長く、世の中は新年度春のすがすがしさを心行くまで味わうことができる喜びに満ち溢れているようです。
4月1日にくまもと南部広域病院にも新たに3名の医師、3名の看護師、10名のセラピスト、1名のソーシャルワーカー、1名の栄養士、1名の事務職員を迎え若返ることとなりました。新しい風が吹いてくることでしょう。当院の理念は「働く職員の幸福を追求し、医療、介護、予防事業を通じ、住み続けることのできる地域社会作りに貢献します」です。つまり「職員を大切にすること」と「業務による地域貢献」の二本立てになっています。後者が経営に直結することから、いきおい、事業計画の推進に心がいきがちですが、歓迎式で新入職員を前にした時、前者の「職員を大切にする」理念が大きく再認識されました。
言うまでもなく国の外も内も、様々な問題でたいへんに混とんとしています。人と人の関係構築が難しい時代ともいわれますが、いつの時代にも同じことが言われていたのかもしれません。人の言葉に耳を傾け、人の思いを理解し、自分の思いも上手に相手に伝える、意思疎通の大切さが昔から言われてきましたが、相手を前にした時の遠慮、思い込み、恐れ、面倒くさい、などの入り混じった複雑な感情から、意思疎通をうまく果たせないことは少なくありません。結局は自分自身の心のハードル、心の未熟さが原因なのです。SNSは相手を前にした時に沸き起こる複雑な感情を感じないために、簡単に自分の意見を発信できますが、様々な負の側面が波紋を呼んでいます。
「働く職員の幸福を追求する」理念は、日々唱和をすれば浸透するものではありません。理念の主語は「法人」とはいうものの責任主体は経営陣なのです。このことを改めて痛感し、理念達成のために小さなことの実践を積み重ねていく決意を新たにしたところです。さくら散る後に葉緑素をたっぷりと蓄えた青々と茂る緑が広がることを楽しみにしています。
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院長挨拶(2024年)
温故知新
当院は70年近い歴史があり、時代の変化に応じて少しずつ変革を遂げてきました。その時々の先達は大変な思いをしながら歴史を紡いできたに違いありません。近年の変化はその中でも大きな変化を迎えている時期の一つではないかと感じています。日本の急速な少子高齢社会への突入速度は世界的に見てもまれと言われています。IT、AIによる第4次産業革命が始まり、情報や物や人の移動速度が増し、人々の価値観がますます多様化しています。気候変動の増加による災害が増加し、国際関係は新たな局面を迎えています。先の見えない時代と言われる所以です。
しかし変化を好機ととらえればどこまで発展していくのか楽しみだ、という見方もできそうです。少子高齢社会を乗り越えるため、仕事や生活にかかわる様々な手続きの無駄をITにより能率化する試みが始まっており、仕事や行政サービスの質が向上するでしょう。IT化によるライドシェアが進めば、移動手段のないお年寄りでも今以上に移動が便利になるでしょう。働き方改革が進みオンライン就業が整備されれば、離れたところに住んでいても、決まった時間に出社しなくても、自分の持てる能力を生かす働き方ができるでしょう。
一方、病院のように職場に来なければ始まらない仕事もありますし、人が対面で顔を合わせて働くことで生まれるエネルギーや喜びもあります。何より人間の肉体構造と喜怒哀楽の感情は、現生人類20万年の歴史で大きく変わっていません。そうであれば人が集まる職場は働きやすく、やりがいを感じられる職場でなければなりませんし、職員も一社会人としての倫理観と責任意識を持った行動をしなければなりません。そうでなければ当院をご利用なさる方々に質の高い医療や介護を提供することもできません。人間の長い歴史で培われた、人としてあるべき考え方を大切にしなければなりません。
私たちは故(ふる)きを温(たず)ね新しきを知り、変化を恐れることなく医療、介護、福祉の領域で地域の皆さんの生活を支える機能を備え、安心して働ける職場をつくり、社会に貢献していく所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。